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図3.38曲げを受けるT継手の応力集中率37)

 

構造の場合のαは、文献38)を参照されたい。
なお、片側すみ肉T継手や片側すみ肉溶接のみの重ね継手は、負荷によって継手が開くため、曲げを防止する強固な支持がないかぎり採用してはならない。
?B継手構成と溶接残留応力
継手構成(detail、又はconfiguration)は疲労強度に大きく影響を及ぼし、複雑になるほど疲労強度が低くなる。例えば、疲労強度は突合せ継手(余盛削除)>同(余盛あり)>両面すみ肉T継手の順であり、重ね継手や片側すみ肉T継手はさらに低い。
実際の溶接構造物の溶接部には、上述の小型試験片の場合と異なり、耐力に近い溶接残留応力が存在する。これらの疲労試験結果は溶接残留応力が開放された小型試験片における応力比R:0.5の場合にほぼ匹敵する。すなわち、繰返し応力下で溶接残留応力が平均応力σmとして作用するため、疲労強度に及ぼす応力比Rの影響は小さい。したがって、応力比依存性(平均応力の影響)は、母材及び残留応力が既知の単純な溶接継手においてのみ認める場合もあるが、最近では高引張溶接残留応力の存在から応力範囲△σを重視するようになった。この動向は鋼構造疲労設計においても同様である。
最近10年間に見直しが行われた各国のアルミニウム合金疲労設計規格には、溶接残留応力を持つ実物大試験片(主に大型溶接組立ビーム)の実験点を用いて、継手構成とそのき裂発生位置によって整理した各平均△σ−N線より2標準偏差下げたものを設計△σ−N線として提示されている。詳しくは別の資料‡5を参照されたい。
*5主な規格は次のようである。
BS8118:Structural use of aluminium、Part 1、(1991)、Sec.7,Fatigue.ECCS−T2:European recommendations for aluminium alloy structures fatigue design(1992)
The AluminumAssoc:Aluminum design manual,Part1−A,Sec.4.8,6th ed.,(1994).BS 8118規格は軽金属溶接34(1996),573、、ECCS規格は同35(1997),35及び82,米国アルミニウム協会規格は同34(1996),465にそれぞれ継手構成と設計S−N線図が解説されている。

 

 

 

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